遠い昔のことですが、昨日のことのように思い出します。
不貞行為をされた思い出は人生で最も傷ついた経験の一つです。

私が彼女の不倫に気づいたのは、ありがちですが携帯電話を見てしまったことでした。
日々の生活に特に不満があるようには見えず、
むしろ私たちの関係はうまくいっているものであると思っていました。
何一つ問題点はなく、秘密も隠し事もなしにしようと約束し、
私たちは間違いなく愛し合っていたはずだったのです。
ある日彼女の携帯がベッドの上で無造作に鳴り、私はふとその方向を見ました。
何気ないいつもの光景でした。しかし第六感とでもいうのでしょうか。
私はその携帯が気になって仕方ありませんでした。
私は携帯から目をそらし、またゴロゴロと寝そべっていました。

それでもベッドの上の電話が気になって仕方ありません。
開けよ、開いて中身を確認しろよ。電話がそのようなオーラを発していることは間違いありません。
私はオカルトの類は大嫌いで、例えば霊とか神とかそのようなものには一瞬でアレルギーがでます。
科学を信じ、見えないものは信じない。事実しか認めない人生を送ってきたはずが、
その時ばかりは悪寒というものを間違いなく感じました。
私はおもむろに立ち上がり、電話を手に取りました。
当時まだスマホはなく、ガラケーの時代だったのでパスワード等はなく、
すぐに内容を確認することができたのです。今思えばスマホがもっと早く開発され、
ロックを外すことができずににそのまま放っておいた方が良かったとさえ思っています。
知らなければいいことがこの世には確実に存在するのだと知る前に。
メールは男からでした。何やら伊豆に行く約束をしているようです。
しかもダブルで。レンタカー予約か何かの話をしています。

あれ?と思いました。社員旅行でレンタカー?伊豆?そこで私は気づいてしまったのです。
これは浮気だ、と。ことこまかに予定は記載されていました。
ホテルに併設されているテニスコートでテニスをすること、
その時に着るウェアを一緒に買いに行くこと、海に行くこと、
夜に海岸で花火をすること。あまりのリアルさに私は吐き気を催し目まいを起こしました。
何かの間違いだろうと一瞬思いましたが、そんなわけない、
これは現実なのだと我に帰るまで時間はそう長くかかりませんでした。
結果私たちは話し合い、結局破局に至りましたが、それからは女性不信に陥り、
一人で生きていくことを決めました。今では趣味に没頭しそこそこ充実した人生を送っています。
もう女性はこりごりです。