浮気が発覚したのは、「非通知」からの執拗な電話に思い切って出たことからだった。
 旦那と結婚して6年。私たちには子供がおらず、旦那は出張の多い仕事。
仕事柄、突然県外に出張になることも多々あり、
私は主に旦那との連絡手段としてガラケーを所持していた。
主婦業に専念していた私には、ほとんど社会との接点も無く、
旦那以外には、たまに実家の母親から電話がかかってくるぐらい。
友人も少ないことも相まって、滅多に電話が鳴ることはなかった。
 旦那が1週間の出張に出かけた、夏の日の夕方、突然「非通知」からの着信があった。
「え?誰だろ?」
正直、機械音痴な私は、「非通知拒否設定」をしていなかった。
そうめんを食べようとしていた手を止め、鳴り続ける電話に、
「出てみようかな。」と思いつつ、様子をみていると、しばらくして切れた。
「誰だったんだろう?」この時は、たいして気にも留めなかったが、これが恐怖の始まりだった。
 次の日の朝、目が覚めるとケータイの着信履歴が120件だった。開いてみるとすべてが「非通知」からである。
「うわっ‥」
さすがに、普通ではない着信に違和感を覚えたが、細かいことを気にしない性格なので、
「まいっか」と旦那が帰るのを待ちわびた。「きっと間違い電話だ。」と。
 だが、それから毎日、夜中になると「非通知」からの着信が続いた。
旦那に相談しようかなと迷ったが、心配をかけてしまうと思い、
「次鳴ったら出てみよう。」と心に決めた。案外、間違い電話かもしれないと。
 旦那が帰ってくる日、晩御飯の買い物を終えて家に帰る途中、ケータイが鳴りだした。
「非通知」からだ。恐る恐る、通話ボタンを押す。
「もしもし?」
「‥‥。」
「どなたですか?」
「お前が○○(旦那の名前)の嫁の△△(私の名前)?○○は、私のものだから。
離婚しないと殺す!どこにいるのかはわかってるんだからな!」(ガチャ)
 若い女の声だった。電話を切った私は、夏の暑さじゃなく、
恐怖で汗をだらだらとかいた。こういう電話はもちろん初めてだし、
電話の内容もよくわからない。こういっては何だが、
旦那は浮気をするタイプではない。ただただ、物静かで、争い事を嫌がるのだ。
 
 「脅迫電話がかかってきてね…。」
 旦那が出張から帰ってきたその晩、私は旦那に、事の顛末を相談した。旦那は黙って聞いていた。
 「私、警察に相談しようかと思って‥。」
 そういった私を、獣でも見るような目つきで旦那がにらみ、こう言った。
「あの子はそんなことをする子じゃない!」
 「え??」私は、わけがわからなくなって、口をパクパクさせていると、
旦那はこう言った。「離婚すれば殺されないだろ?」
 その後、私たちは離婚し、元旦那は非通知の女と結婚。子供も産まれ、
非通知女は、幸せそうな記事を日々FBに載せている。