夫は出張の多い仕事で、海外へ出張した時は1ヶ月近く帰宅しません。
新婚当初は会えない寂しさがさらに愛を育みましたが、
子供もできず一人の時間だけが増えると、どんどん寂しさが増していきました。
夫は優しく穏やかでとても私のことを愛してくれているので、きっと不倫はしませんし、
私のことも信じていると思います。しかし私はそうではありませんでした。
ただ不倫をしたいと思ったことはありません。夫を裏切ることだけはしたくないと思っていました。

しかし、久しぶりに開かれた高校の同窓会に参加したことから私の
運命はガラリと変わりました。何の気なしに参加したのですが、
そこに高校時代に付き合っていた彼も出席していたのです。
付き合ったと言っても形だけで、手を繋ぐことしかできなかったピュアな思い出です。
卒業して20年以上経っているのに、彼はあの頃のまま全然変わっていませんでした。
更にかっこよくなっていたように感じられ、私は思わずときめいてしまいました。
ときめきなんて忘れていたのに、彼を見て胸の高鳴りを抑えるのに必死でした。
彼と目が合うと、彼の目は輝き嬉しそうにこちらに近寄ってきました。
元気?と聞かれましたが、声が出なかったのでただ頷くだけでした。
その日彼と連絡先を交換し別れました。彼はまだ独身のようで、
彼みたいな人がなぜだろうと不思議でした。

彼と不倫関係になるまで時間はかかりませんでした。
夫が忙しくあまり顔を合わせないので寂しいということ、
子供をなかなか授かれず諦めたことなどを彼に話しました。
彼は研究職に就いているらしく、それなりに忙しくしているようでした。
ただ、研究に没頭するあまり長年付き合っていた恋人と別れ、
自分は独り身の方が合っていると思ったのでした。

彼と何度か食事へ行き、何の気なしに私が北海道へ行きたいなと言うと、
彼は「じゃあ行く?」と直ぐに言ってきたので驚きました。
相変わらず夫は仕事が忙しく、少し投げやりになっていたのもあり、
彼と旅行の約束をしてしまいました。
冬の北海道の旅館で温泉に入り、美味しいご飯をいただきました。
旅行なんて何年ぶりだろうと嬉しくなりました。よく考えたら、
新婚旅行も言っていないことに気づきました。私は夫にとってただの同居人なのかもしれないと思いました。
それとは間逆に目の前にいる彼とは話も弾み、始終笑っていました。
高校時代の思い出話に花が咲き、当時はテニス部だった彼は意外と
女子からも人気があったことも思い出しました。
別れを切り出したのは私でした。恋愛に奥手だった私は手を繋ぐだけでドキドキして、
勝手にしんどくなってしまい別れを告げたのでした。

温泉は混浴で、私はまたドキドキしながら彼と少し距離をとって景色を眺めていました。
彼はため息まじりに「なんで結婚してるんだろ」と呟いたので、
私は変えが真っ赤になりました。彼に名前を呼ばれましたが、
恥ずかしくて見れないでいると、彼から少し強引にキスされました。
夜は一つの布団で眠り、私たちはとうとう一線を超えてしまったのです。
何も知らない夫から着信があったようですが、私は聞こえないふりをして彼にしがみつきました。
お土産に、と彼に渡されたのはコロポックルの木彫りの置物でした。
相変わらずのセンスのなさに、また彼への愛おしい気持ちが溢れました。