大学卒業したてのころ、卒業してからすぐに働かせてもらっていた会社の上
司と不倫関係になったことがあります。
私は社内ではできるだけ彼のことを知らんふりして過ごしていたのですが、
何故だか彼は社内でも私に馴れ馴れしい態度を取ることが多く、
ひやひやすることもありました。プライベートの時間では、
大好きな彼と濃密な時間を過ごすことを楽しんでいましたが、
彼は既婚者でしたのでお泊りはなかなかできません。

でもある夏のこと、彼が私をお泊り旅行に誘ってくれました。
友人の持つ湖沿いの別荘に一泊旅行をしよう、というのです。
その友人とは同じ会社に勤める定年間近の上司です。
その上司はとても穏やかな性格で、私たちの関係を知っていました。
ばれたのではなく、私の彼がその上司を信頼して話したのです。
上司は特に驚いた様子もなく、受け止めてくれたそうです。
私は、その上司が私たちの関係を知っていることを知っていた為、
安心してそのお泊り旅行にオーケーをだすことができました。

彼の別荘は、私たちが住んでいる場所からも会社からも結構離れた場所にあるので、
誰かに見られることもありません。旅行の日、私たちは車に乗って
朝一番で上司の別荘にでかけました。彼が、家族になんと理由をつけてでか
けたのかは聞きませんでしたが、もちろん嘘をついてでかけてきているはずでした。
上司の別荘は、静かな森の中にある美しいロッジでした。別荘についた私たちは、
肌寒い森の中を誰の目も気にすることなく腕を組んで散歩し、木陰で抱き合い、
とても幸せな時間をすごしました。上司が持っているボートも借りることが許されていた為、
午後は別荘に面した大きな湖にボートで漕ぎだし、ロマンチックな時間をすごしました。
私たちが住んでいる街だと、私の家以外ではこうしてくつろいで過ごすことができません。
どこで誰が見ているかわからないからです。ですので、
この時間は私にとって、とても穏やかで思い出深い時間となりました。

夜、ロッジに戻って食事を済ませた時に、彼に彼の家族から電話がかかってきました。
彼はちょっと私を気にするような様子を見せつつも、私の前で奥さんとお話しし、
上司の別荘にいること、散歩したこと、何を食べたか、子どもはどうしているか、
などの会話をしていました。もちろん、その会話の中に私の存在はありません。
当たり前で、わかっていたことですが、私はとても寂しくむなしい気分になりました。
隠される付き合いというのは、きっとろくな付き合いでないことはわかっているのです。
でも、好きという気持ちが抑えられず、切ない不倫旅行となりました。