私がまだ大学卒業したてのころ、こっそりとお付き合いさせて頂いている男性がいらっしゃいました。
こっそりお付き合いをしなければならなかった理由は、彼が既婚者だったからです。
彼は、私が大学卒業後、アルバイトで働きだした会社の上司でした。
右も左もわからず、仕事のできない私を支え、
励ましてくれた彼に私は淡い恋心を抱いていましたが、
もちろん彼が結婚していたことは知っていた為、叶わぬ恋だと諦めていました。
しかし、しばらく私がその会社で働いているうちに、彼も私のことが気に入り、
ある日を境に恋人同士のようになりました。

彼には家庭がありますので、もちろん彼が私の家に泊まったり、
私が彼の家に泊まったりすることはできません。
お泊りできたら素敵だろうなと思ったことはありましたが、
もちろん不倫中の身、贅沢を言うことは許されません。
そんな生活が続いていたある日、彼から連絡がありました。

なんでも海沿いの美しい街に会社の同僚何名かと出張することが決まったから君も来ないか、
とのことでした。私の頭の中にはたくさんのハテナマークが浮かびました。
だって、会社の同僚何名かが同時にその街に出張しているのだったら、
私もその場にいたら明らかにおかしいのです。私もその会社で働いているのですから面が割れているのです。

私が彼にそういって断ると、彼は出張先のホテルは自分で好きなところを選んでいいことになっている。
同僚がとまらなそうな町はずれのホテルを予約しよう。
そうすれば絶対に見つからないから大丈夫だよ、と。
私はものすごく迷いましたが、彼とお泊りしてみたいという気持ちが迷いを打ち砕きました。
彼はホテルの予約は私に任せてくれたので、
私は街の中心地からできるだけ離れたアパートメントホテルの一室を予約しました。
当日、彼は同僚と共に出張先にでかけ、私は別の電車でその街に向かい、
一人でホテルに向かいました。夜、仕事が終わった彼がホテルにやってきてくれた
ときの嬉しさといったら!私と彼はそのまま、街に食事にでかけました。
どこかで同僚とあったらどうしようとものすごくドキドキしたのですが、
さすがにそんな町はずれのレストランまでやってくる同僚はおらず、
誰にも会うことなく食事を終え、ホテルに戻ることができました。
その夜は、彼と初めてお泊りした思い出の夜となりました。
帰りの電車もバラバラで帰らなくてはなりませんでしたが、
とても思い出に残る、大好きな彼との幸せな一泊旅行でした。